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大原大次郎 <もじゅうりょくツアー>

3年ぶりに個展を行います。
個展というより、ツアーです。

写真家・平野太呂さんの運営するNo.12 Garellyでの初個展以降のここ数年の自主プロジェクトは、個人の制作よりも共同でのワークショップを中心に展開してきました。

作家性の濃度を高めるのではなく、共同制作と参加者からのフィードバックを積み重ねることで見えてくるもの。プロセスの中で発生するノイズをひとつひとつ拾い集めることで見えてくるもの。これらの景色は、僕個人の制作では到底たどり着けないパースペクティブを持っています。

しかし、これらのワークショップの中でも課題は多く残ります。その課題と向き合うために、継続性を持たせた中で共同できるチームを組織したく、omommaの基礎過程を募集しました。

今回はその基礎過程チームとともに京都に入り、三年前の個展以降の数年間で制作したもの、特に今年の夏に平野甲賀さん、鳥海修さんと行った「モジもじ文字」に出展した<もじゅうりょく>シリーズを中心に据えて、一週間滞在制作を行います。

今回のツアーは、ovaqeの松倉早星さんと、UMA / design farmの原田祐馬くんが企画発案し、キュレーションしてくれています。ここ数年、自分が(勝手に)何度も関西周辺を訪れ、インタビューし、仕事を共有し、交流を重ねていくなかで生まれた企画です。この展開に心から感謝しています。

宣伝美術は原田祐馬くんにお願いしました。デザイナーがデザイナーに発注するということ。依頼する側のわくわくと難しさに向き合うことができました。
その祐馬くんの回答。<もじゅうりょく>をこんなふうに解釈してくれて本当に光栄です。どうもありがとう。

<もじゅうりょくツアー>の制作過程は、Twitterでも実況していきます。ドタバタ感も含めて、お楽しみください。
さらに、展示オープンに合わせて、「もじゅうりょくのモビール」のオンラインエキシビションもオープン予定です。もともと、空間でのインスタレーションとともに、タブレットPCやスマートフォンのディスプレイでの展開を考えていたシリーズなので、とても楽しみです。

今回の<もじゅうりょくツアー>は、僕らにとってのツアーでもあり、みなさんを<もじゅうりょく>の世界にいざなうツアーでもあります。

ぜひお越しいただけると幸いです。

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<もじゅうりょくツアー>のステートメント

いつもと違う方法で文字を書いてみる。
まずは道具を変えてみる。例えば鉛筆を筆に変えてみる、木に彫ってみる、拾い物にインクをつけてスタンプのような要領で書いてみるなど。
次に、環境を変えてみる。柔らかい絨毯の上やアスファルトの上に紙を置いて書いてみる、海に潜って書いてみる、広場に行って自転車の軌跡で、暗い場所で光の軌跡で書いてみるなど。
さらに、書字の方法を変えてみる。目をつぶって書く、利き手と逆で書いてみる、鏡文字で書いてみる、目隠しをして、別の人からの指示だけで書いてみる…。

不思議なことに、いつもとは大きく違う道具や環境や方法で書いたにもかかわらず、できあがる文字はどことなく自分の普段の字に近い。偶然性をまとい ながら、一見無意識に引かれた線にも「癖の母体」が存在する。
慣れた材料や環境や方法を制限されて制限されて残った薄皮一枚のような部分に、人それぞれの型が残る。

既存の風景から文字の原型を探るフィールドワーク<文字採集>。シャッフルされた言葉の紙片に自分の言葉を足し、さまざまな手法で記述する言葉あそび<文字くじ>。海の漂流物や廃品など、普段文具として扱われていない物体を記述用具として再開拓する<オモンマ文具店>、デッキに彫られた文字を、身体的なアプローチや環境要因によって変化させていくスケートボード彫刻<文字に乗る>など、ここ数年のトライアルは、文字の造形や表面的な形象の詰めではな く、記述する際の身体性や知覚の立ち上がり、個人に宿る潜在的な型を意識化していく行為である。

2012年夏に、平野甲賀、鳥海修とともに行った展覧会『モジもじ文字』にて、<もじゅうりょく>シリーズを出展。
<もじゅうりょく>は、文字、重力、モジュールを掛け合わせた造語。
この<もじゅうりょく>を軸に、モビールのタイポグラフィシリーズ<もじゅうりょくのモビール>、建築図面を再構成し「組版」した青焼きのプリントシリー ズ<もじゅうりょくのモジュール>、写真家・ホンマタカシの写真と、ロッククライミングの記譜をもとに字母を探り記述したドローイングシリーズ「稜線」を制作。

今回の京都HOTEL ANTEROOMでの個展は、写真家・平野太呂の運営するNo.12 Garellyでの初個展から三年ぶり、東京以外での展示は初となる。個人の制作のほか、共同でのワークショップで蓄積された書字の行為、言葉と文字の知覚と、さらなる課題。

今回はそれらを引き連れて<もじゅうりょく>の世界へといざなう、初めてのツアーとなる。

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大原大次郎 <もじゅうりょくツアー>

展示期間
2012年12月15日(土) - 1月14日(月・祝)
会場
HOTEL ANTEROOM KYOTO
〒601-8044 京都府京都市南区東九条明田町7番

地図



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大原大次郎 <もじゅうりょくツアー>
#263
December8, 2012
Tag: 展示


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新しい本の読み方を提案する野外イベント『読書のフェス』が、来週末11月10日に上野恩賜公園野外ステージで開催されます。こちらのロゴデザインを担当させていただきました。
「読書のフェス」は今回が初開催。実行委員会は「ない世界」でもお世話になっている江口宏志さん、ブックディレクターの幅允孝さん、オツタヤミカさん。


今までの読書は、ひとりで、家で、静かに、するものでした。
しかし、「読書のフェス」では、新しい本の読み方を提案したいと思います。
ひとりで、家で、静かに、ではなく、みんなで、外で、大声で、読む。
音楽の世界では様々なフェスが行われていますが、
この「読書のフェス」では、書き手たちの朗読が中心です。

テキストではなく、声帯から発する言葉を、観客が自身の耳で聞く。
脳よりも先に、からだへと言葉を入れる、より原初的な本読み。
私たちは、とかく「個人的な問題」になりがちな読書行為を、
もういちど日常のテーブルに乗せてみたいのです。
そして、直接その場で顔を合わせながら、本を読むということについて
みなで考えるイベントをつくりたいと思っています。

ー読書のフェス実行委員会



読書のフェス
2012年11月10日(土)
OPEN 12:00 / START 13:00(雨天決行・荒天中止)
会場:上野恩賜公園野外ステージ(旧水上音楽堂)
料金:前売1,500円  当日2,000円(6歳以下無料) 

出演:
川上未映子(作家)
小林エリカ(作家、漫画家)
三遊亭白鳥(落語家)
柴田元幸(アメリカ文学研究者/翻訳者)
菅原敏(詩人)
高木正勝(映像作家、音楽家)
飛田正浩(ファッションデザイナー)
平松洋子(エッセイスト)
文月悠光(詩人)
穂村弘(歌人)
and more

読書のフェス実行委員会
江口宏志 / オツタヤミカ / 幅允孝

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「読書のフェス」
#262
November3, 2012
Tag: 2012works


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このたび、初めてのインターンを募集します。

世間的に通っているインターン募集とはやや違うかもしれないので、募集要項の前に口上述べさせていただきますね。

ここ数年、通常のデザイン業務と並走させる形で、ワークショップや自主プロジェクトを重ねてきました。
そこでは、年齢や職業の異なる、さまざまな方達との交流があります。
ワークを通してみなさんと一緒に得てきたものが、現在の思考やデザインの組み立て方の核になっています。

しかし、ワークショップは時間が限られていて、その時間内におさめるために進行上省略してしまうこと、漏れてしまう内容があります。さらに、終わってから感想を述べ合ったり批評し合うような交流の時間、言語化する時間が持てることはとても少ないです。

ワークの時間は楽しいし得るものも大きいのですが、終わったあとのフィードバックや、クールダウンした状態で(たとえば1週間くらい寝かせて)、時間を置いてから継続的に行っていくことが、さらに重要なのだと続けるうちに気付いていきました。

居残りして疑問や提案を投げかけてくれる方、後日フィードバックをくれる方とのコミュニケーションはとても貴重で、この時間ややりとりをどうにかコンパイルし、濃度を高めていくプロジェクトチームができないだろうか…と考えたのが、今回の募集のきっかけになっています。

これまでのデザイン業務は、すべて人との関わりで、チームで進めています。
編集者、カメラマン、デザイナー、イラストレーター、ライター、音楽家、映像作家…、いろんな方達と組みます。
ただ、現状の実作業は一人で進めています。いわゆる、スタッフやアシスタントと共同で作業はしていません。

今回は、ちょっと手一杯になったから手伝ってよ、という募集ではありません。もちろん手伝っていただきたいものはたくさんありますが、通常のデザイン業務に加え、継続的な基礎カリキュラムを組み、ワークショップ、自主プロジェクト、展示、レクチャー、パブリケーションなど、アナログ/デジタルなどの手法問わず領域を押し広げ、柔軟に動けるチームを形成したいと考えています。そこに積極的に関わっていただける方を募集します。

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募集枠:2名 

雇用形態:インターン

年齢:19歳以上〜不問

経験:不問
コミュニケーション力重視です。デザイン未経験者や学生優遇します。

勤務地・勤務時間など:不定期で週1〜3回程度、三軒茶屋に通える方(勤務時間応相談)。
フットワーク力重視です。三茶近郊の方優遇します。

そのほか処遇については、面接時個別に対応いたします。
基礎トライアルを経て一定期間以上実務に関わった成果を判断して、スタッフやデザイナーとして(契約上の内容も含め)採用していくことも念頭に置いています。ご相談ください。


応募方法

履歴書(書式不問)と志望動機を記載の上、
メール ohara@omomma.in に添付しご送信ください。
(webサイトやpdfなどで閲覧できるポートフォリオがある方は、そちらも添付願います)

第一期募集
11月〜12月の業務にあたり、第一期の募集期間は
10月30日(火)〜11月11日(日)までとさせていただきます。

第二期募集
※第一期募集で2名枠が埋まらなかった場合、
12月頭より、再度募集します。

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どうぞよろしくお願いいたします。


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インターン募集<omommaの基礎過程>
#261
October30, 2012
Tag: 2012works