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赤田祐一さんとばるぼらさんによる、
「20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を創った雑誌たち」の
ブックデザインを担当させていただきました。

数多くの雑誌を蒐集し、雑誌をとりまく文化にも詳しい赤田さんとばるぼらさんが、
20世紀に刊行した雑誌のなかから、独自の切り口とビジュアルで多くの読者に支持され、
他のメディアにも影響を与えた雑誌を選び解説。
制作に携わった関係者のインタビュー、特筆すべき雑誌のコラムや表紙一覧、
20世紀の雑誌年表も合わせ、紹介されている雑誌はなんと1200冊。
いかにしてそれらの雑誌が作られ、読者や他の雑誌へと広がりを見せたのかがわかる、
歴史的な一冊となっています。



「20世紀エディトリアル・オデッセイ」に少しでも関われたことは、
今後の自分(とこれまでの自分)にとってものすごく重要なことです。

自分が好きな世界の先人たちは、想像を遥かに上回る驚喜と狂気に満ちていた。

そのハピネスとマッドネスを現在進行形の編集であらは(表・現・著・顕)す、
赤田さんとばるぼらさん、アイデア編集部のみなさんへは、畏敬の念が強まる一方です。

その畏敬の念は、実のところ、すごいというよりこわいが本音です。

思い起こすのは、羽良多平吉さんの「ウレシイ編輯,タノシイ設計。」という
言葉の軽やかさと重み。

もちろん恐怖って意味ではなく、ひとつは、
この本やそこに登場する雑誌たちが内包している時間軸(これまでとこれから)に対する畏れで、
その重みや自分の未熟さを思い知りながら、莫大な図像とテキストの渦にもまれ、
もがきながら作業を進めた。

この経験を通して得られたものや感じたことが、なにかすぐに結果を出せるような
手軽なフィードバックではないこと、
それには「相応の時間と密度」が必要だということを感じる。

一日、一年、十年、百年、千年…の中にはそれぞれに時間軸があって、
それを川の流れのようなものに例えるなら、
そこでの過ごし方は、眺める、乗る、逆流する、潜る、杭を打つ、橋を架ける、無視する…、
ほかにもいろいろな方法や道具や環境で捉える(ような)ことができる。

それぞれの時間の構成方は、生活、さまざまな職業、歴史などの中から、厖大に学べるんだけど、
実際に自分の目の前の時間は、捉えにくくあっという間に流れて行きがちだ。

そんな中でデザインや編集は、混沌とした情報を整理して、
とらえどころのある姿に明示する役割を担ってきた一方で、
ノイズをできるだけ残して、一見とらえどころのない部分に暗示の種を蒔いてきた歴史もある
(暗示だから、「ある」ではなくて「あるはず」ですかね)。

歴史や制作物を遺産としてだけではなく、現在進行形にアップデートするための
知恵や時間の構成方ととらえると、
今後の「相応の時間と密度」と向き合えるんじゃないかと、この本を読み、関わる中で考えた。

だから今回感じたこわさには、確かなわくわくがある。



赤田さん、ばるぼらさん、今回がっつり不眠不休のタッグを組んでくれたデザイナーの本多伸二くん、
担当編集の久保さん、アイデア編集長室賀さん、白井敬尚形成事務所のみなさま、
宮添くん、みちまと綿くんに心から感謝いたします。



赤田祐一+ばるぼら 著
「20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を創った雑誌たち」

誠文堂新光社
B5,並製,224ページ,フルカラー
定価2,500円(税別)

『ホール・アース・カタログ』/プリンテッド・パンクス/キャッチ・ザ・ニューウェイヴ/バック・トゥ・ザ・フィフティーズ/実験雑誌としての『ア ンアン』/『ワンダーランド』と『宝島』/大伴昌司と内田勝の視覚革命/コミックマーケット創成期と同人誌/米澤嘉博の書物迷宮/雑誌曼荼羅 1901→2000/20世紀雑誌年表

【コラム】『MAD』から始まったアメリカ・パロディマガジンの影響/『JAM』/『ロッキング・オン』/『遊』/『NOW』/『新宿プレイマップ』/花森安治と『婦人の生活』シリーズ/『TAU』/コンピュータ雑誌/『ガロ』と『COM』の功績』/『ウィークエンド・スーパー』『写真時代』──セルフ出版の時代/三流エロ劇画御三家『漫画大快楽』『劇画アリス』『漫画エロジェニカ』

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出版記念イベントを2014年5月25日(日)にVACANTで開催します。
詳細
「20世紀エディトリアル・オデッセイ」出版記念イベント|
出演:出演:赤田祐一、ばるぼら、大原大次郎


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「20世紀エディトリアル・オデッセイ」のこと
#290
April 30, 2014
Tag:2014works

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4月5日(土)に、「デザインフォーラム TDCDAY」に、TYMOTEの井口皓太くんと共に登壇します。

「TDCDAY」はTDC TOKYO主催のもと、6時間半ぶっ通しで
行われるタイポグラフィトークマラソンで、学生の頃から毎年一人で通っていた。

これに付き合ってくれる友人でもいれば、あれこれ議論したり振り返ったりできたのかもしれないけど、
一人でふらふら出かけては、いつも勝手に煩悩を抱えながら帰っていたことが、とても重要だった。

事例を見に行くとか、参考にするとか勉強しに行くとかではなくて、
この世界には、どんな人間がうごめいているのかをこっそり覗きにいくような感覚で、
単純に、登壇している人たちと自分との違いや距離に毎回驚いたり落ち込んだりしていたけど、
なにより喜びが一番大きかった。たくさんの勇気を勝手にいただいていた(特に2006年のLes Suenと2010年のジョン・ワーウィッカーのプレゼンテーションは感動を今でも引きずっている)

なので、その場で自分がお話しできることはとてもありがたいことではあるけれど、
やはりこれまでと同じように会場に行き、お客さんも含めてその場にいる人たちから
こっそりわくわくをいただいて、夜桜を横目にこっそり早足で帰りながら、
あれこれ思いを巡らせたい気持ちが大きい。
(でもこの日は井口くんもいるし、終わった後はあれこれ語り合います)

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TDCDAY2014_omote

TDCDAY2014_ura

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デザインフォーラムTDCDAYのこと
#289
April 1, 2014
Tag:展示