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もじゅうりょく日記
重力編
#256 August,10 2012
Tag:展示
mn50


それでは、予告通り「もじゅうりょく日記」<重力編>をお送りします。今回は7月の頭から、展覧会初日までの制作記です。

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7/1 
7月突入!
吉祥寺美術館へ、Firm.松村さんと空間構成の下見へ。現地を見ることでかなり具体的になる。頭の中で、勝手にもっと大きい空間になっていた。
松村さんの関わりはとても心強い。空間に関してだけでなく、内容に関してもプランを練り直す。
偶然入った定食屋がアタリ。学生の頃に行ったことのある喫茶店も変わらず健在。
mn36

7/2
お仕事二件入稿。とても気が楽になる。深夜に図録も無事校了。浩司くん、林さんおつかれさまです。色校が楽しみ。
夜中、浩司くんと入稿記念の打ち上げ。

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7/3
雨でアトリエ行けず。引越準備とデスクワーク。

7/4
午前中、美術館で冊子の初校チェック。そのあと学芸員の関さんと設営のご相談。
戻ってモビール「ており」と「かどうか」制作。午前3時頃終了。
そのあと本多伸二とアトリエ前のバーで一杯。

源くん「夢の外へ」発売。発売日なのにブログはおろかツイートすらできていない。自分のプロモーショナルな動きがどんどん劣ってきているのはないかと感じる。もともとSNSに向いていないことはよく理解しているが。多忙の中使いこなしている人達のスキルは一体どうなってんだ。

mn29


7/5
日々がものすごい勢いですぎていく。
ふたたび五十嵐一晴くんにアトリエに来てもらい、モビール「ており」「かどうか」撮影。慣れてきたのか、順調に3時間ほどで終了。イガちゃん、毎回ありがとう。
イガちゃんががっつり肉を食べたがっていたが、近所の定食屋のランチタイムがすべて終了していたため、ココイチでカレー。妥協するのは嫌らしく、肉を我慢して野菜カレーをオーダーしていた。

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7/6 
今日は、生まれて初めて食の仕事に関わる日。
午後、湯島のバー「道」に到着。8月から、僕はここで定期的に働かせていただく予定だ。
これまでのさまざまなワークショップ、「屋体」の勉強会や荻窪での「屋体」プレを通して、普段の仕事にとっては多少遠回りになるとしても、ちゃんと飲食に関わる下働きをしなければいけないと感じ、店長の岸本さんに考えを伝えて修行を申し出た。

今日の仕事は、竹尾見本帖本店で開かれているタイポグラフィの展示に併せたパーティに出す、ケータリングのアシスタントである。初めて食に関わる仕事がタイポグラフィ展へのケータリングとは、これまた縁というか業というか。
水まわりを掃除し、築地で仕入れたという色とりどりの野菜を洗い、下処理をしパッキングをするうちに、あっというまに時間が過ぎる。

夕方、やや押し気味で現地到着。開始まで2時間。岸本氏は現場で盛りつけ、僕は小さなおにぎりを包む紙器を、60個ひたすら折る。折る。折る。ひとつ2分×60個。で、時間いっぱい。
気付くと主催の永原康史さんがご挨拶をしている。永原さんは、今月の「モジもじ文字」展の字游工房嵯峨本フォントプロジェクトにも参加している。これも巡り合わせ。

タイポ展パーティのバックヤードで折り紙をしている自分にハテナは浮かばないが、パーティが始まり、幾人かの知り合いにご挨拶をし、「今日はケータリングで来てまして…」と言うと、みんなハテナの顔。この裏番組は、今のところ自分しか楽しめない。

片付けをして、搬出。知覚が歓喜している。続けたい。

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▲荻窪STOREの「屋体」にて。モデル店主はノックさん。

7/7 
七夕。雨である。昼からアトリエで「稜線」シリーズに取りかかる。
ひとつ書き終えた後、紙の選択ミスに気付く。念頭にあったフレームの色に合わせるために、ややアイボリーに転んだ紙を選んだのだが、黄色すぎた。スミとのコントラストがぬるいちゃん。

夕方、松村さんが「稜線」用のフレームのサンプルを持って打ち合わせにきてくれた。松村さんも同意見であった。ですよね。

そのあと、フレームを初めてお願いするNOTE WORKSさんへ。歩いて15分ほど。
ここは、アトリエをシェアしている小澤雅志くんがいつもフレームを発注している工房。小澤くんのペインティングは、NOTE WORKSのフレームに額装されることでさらにジャンプする。ただの額の装飾ではなく、内容への理解がある上での共同作業。飾り立てるでもなくフレームが主張するでもない、制作物の居を決定づける建築的な作業だとも思う。時間があまりない中での初めてのお願いにも関わらず、素晴らしい心意気で応えてくれた。納期も搬入には間に合いそうだ。なんだかとても進んだ気になる。

そのあと渋谷に選択を誤った紙を買い直しに行き、松村さんと今後の打ち合わせをしながらご飯。iPadをやめ、モニター2台に変更すること、モビールの実物を展示すること、キャプションの代わりに持って帰れる印刷物を制作することなどを決める。夜、アトリエに戻り作業。

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7/8
TEDx JUBAの映像用素材作業。
くもりな「名前のない日。」のMV監督でもあるシミズタカハルくんが、スバ対応で素敵なモーションで仕上げてくれた。心から感謝。
そのあと事務作業、仕事片付けているうちにアトリエ行けるチャンスを逃し、引越準備に切り替える。

mn30


7/9
南スーダン建国1年記念日。深刻そうなニュースばかりだけど、妹よがんばれ。

昼〜夜アトリエで「稜線」作業。

引越し前夜ということで、ふくたろを寝かしつけてから、アキと久々に飲む。二人でここへ引越して来て、家族ができて三人で後にする。
ここでの約6年間は、本当に思い入れが深い。この環境があってこそ制作できたものがたくさんある。
特に狭いポーチは特別な場所だ。SAKEROCKの木彫りは、この場所がなければできなかった。
環境によってつくらされたり、つくる内容が変わるってのは本当にある。

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7/10
引越当日!
早朝からダンボール詰めスパート。スーパーマンが三人来て、2トンロング車2往復でキメ。すごすぎるプロ。
新居は立地がやや不便になったが、広さに加えて、これまでになかった風通しの良さと採光の良さが気に入っている。

夜、建築家の谷尻誠さんを紹介していただき初対面飲み。谷尻さんのお話はいつもおもしろい(僕が一方的にトークショーで聞いていただけだが)。最後はなんとお宅までお邪魔する。スペシャルな時間であった。
メモ:<白>の面白。

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7/11
同じアトリエの小澤雅志くんが、自力で2週間ほどイラレと格闘した末にポスターがついに完成。入稿作業をちょっとだけサポートする。そのままアトリエにて「稜線」作業。6枚中4枚終了。

深夜、本多伸二と再びアトリエ前で軽く一杯。事務所近い上に生活サイクルも近いので、ここのところこのパターンが多い。朝5時までフード出してくれる点も素晴らしい。本ちゃんは、そのご飯をチャージして仕事場へ戻っていった。

7/12
朝からものすごい風。ビュービュー言ってる。
昼、リキッドルームで蓮沼執太くんとNoritakeさんとの9月に行われる三人展の打ち合わせ(※情報解禁なりました)。Noritakeさんのアイデアがどれも冴えている。

帰り道、代官山蔦屋に初上陸。TACOMA FUJI RECORDSのTee展を拝見。僕の初TACOMA Teeである「反転女」も販売してくれていた。長居して、コルビジェの画集を買う。
帰り際、平野太呂さんの奥さまのヒナさんと、ご息女ナナちゃんに偶然遭遇。ナナちゃんもう2歳か!かわいいな。いろいろ立ち話をし、8月にあらためてお会いすることを約束する。平野家には親子二代に渡って本当にお世話になっている。そして目の前に三代目も。

夜、打ち合わせ後のNoritakeさんがアトリエを見学に来てくれた。そのまま「稜線」ラスト2枚書き終える。気づけば搬入まで2週間を切っている。もっとピッチ上げなければ。

深夜、案の定大雨で帰れない。ビショ濡れを腹に決めチャリをこぐ。

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7/13
「稜線」最後の仕上げ。やっと書き終えた!

7/14
久々のブログ更新。TACOMA FUJI RECORDSのTシャツについて。

昼、タラちゃんこと尾谷淳くんがアトリエ見学に来る。タラちゃんはここのところハイペースで毎日イラストをSNSにアップし続けている。どんなに酔っぱらって帰っても。すごい勢いだ。そのまま本多伸二事務所へ遊びに行く。

夜、アトリエに戻ってモビール作業に取りかかる。

深夜1時に出したお誘いメールに、朝4時にすでに酩酊状態の池田一真くんから返信。どしゃ降りの三茶で一杯かわす。帰り際、一真くんが下駄箱の鍵がないと言うので、どうせ鍵かけてないんでしょと思い、片っ端から全部開けてあげたら、その開いた様子がやばいやばいと言いながら写メを撮っていた。後日写メを送ってもらう。
どんなに泥酔していても現象への興奮と観察だけはまったくブレていないことにあらためて感動。

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7/15
最後のモビール2つにとりかかる。「いわゆる」と「なのか」。
それにしても暑い。アトリエにはエアコンがない。そして、モビールはちょっとした風で絡まり合ってしまうので、扇風機も近くで付けられす窓も閉めて作業するため、途中ぐったりしてソファで軽くダウン。

深夜2時ごろ完成。飲み上がりの本多伸二軍団といそげんで軽く一杯。タカちゃんの下ネタが響き渡る店内で、熊本出身のデザイナーの鶴岡くんの地元(島)の話に興味津々。4時ごろ解散。

mn39

7/16
朝、アトリエに到着して愕然とする…。
一晩かけて建て込んだモビールが、窓から入った風ですべて絡まりあっている。。注意書き書いておけばよかったのだが、ここのアトリエは夜は住人が寝るために、もちろん窓開けるよね。開けて寝ますよね。忘れてた。当たり前。もう一度窓を閉め切り、汗だくで再度吊りなおす。

昼頃、UNITでのPPPパーティ上がりの五十嵐一晴が来て、最後のモビール撮影。朝7時ごろまでパーティしていたそうだ。タフ。途中、LA帰りのモンチが、西海岸の風をなびかせながらビール片手に映像の編集についての打ち合わせに来てくれた。そして全員汗だく。
17時頃撮影終了。イガちゃんほんとに何回も来てくれてありがとう!!!

18時すぎ、松村さん到着。「稜線」の標本フレームの試作が上がっている予定のNOTE WORKSへ向かう。フレームのフレームを越えてくれている。児玉さん、ダイスケさん最高ですありがとうございます。盛り上がる。

そのあとエビス屋で松村さんと飲みながらモビールの空間打ち合わせ。モビールの実物展示はアトリエである程度建て込み、現地で最終調整することに決める。移動中絡まり合わないことを祈る…。

7/17
新居の積上る段ボールをかきわけ、ワークスペースを確保する。ようやく最後の砦「もじゅうりょくのモジュール」の青焼きシリーズに取りかかる。


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7/18
朝方、映像用のモニター二台注文、壁掛け金具注文。お金かかりますね…。気づけば搬入一週間前である。ピッチ上げなければ。

7/19
正午、「もじゅうりょくのモジュール」青焼きシリーズを日完工芸さんへ直接持ち込み、A0サイズ21枚無事入稿。相変わらずこの印刷所のムードが大好きである。
その足で、門藤勇樹事務所へ。4回に渡って撮影したモビールの映像を、一本化する作業。そこまでは順調だったのだが、完成したデータをできるだけ画質を落とさずにUSBからデータを走らせて、HDMIケーブルでモニタと繋げられて、なおかつループ再生できるハード探しに予想外の時間を取られて全員消耗。途中食事に出たお店で、本多伸二がモンチにサプライズバースデーケーキ。隣の席のギャルズが、盛大に気遣い拍手をしてくれる。

深夜、その願いをかなえてくれるハードがプレステ3だということが判明し、この夜のうちに二台借りれる約束までできて一安心。長丁場の対応してくれたモンチ、チャリで動きまくってくれたほんちゃん、前田家とハイツ太子堂に多謝。

朝、坂口恭平のZERO PUBLICの365日日替わりロゴの追加を制作&送信。今回はすべて鉛筆。そしてついに200個を越えた。残り166個、大切に書こう。

7/20 ※記憶があいまいです。
昼過ぎ、松村さんがアトリエに来てモビール建て込み用の金具の処理などをしてくれる。
夕方、代官山のヒルサイドテラスでドローイング展をしているから来てねと坂口恭平から電話。THE寝不足倦怠感を振り切り、駅前で栄養ドリンクをぶっ込んで松村さんを連れてオープニングへ。すでにゴキゲンな坂口くんと話をし、ここ最近のモビールの映像を見てもらったり、10kg減量成功&日サロに通い中という、相変わらず面白すぎるササオと話したりするうちに、白ワインを飲みまくる→七尾旅人さんがその場でアンプラグドライブを始める→さらに坂口くんが歌いだす→

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ぐわーんとなりながらそのまま渋谷に流れて、mountの山田くんやアトリエの小澤くんなどさらに10名ほど合流して飲む→梅ちゃんバーに流れてLatin Quarterちゃんこと空手サイコ達のDJの中、知らないうちにテキーラ祭(聞いた話)→ササオが半裸で踊っている(記憶あり)→タクシーでタラちゃんと帰り、「ここで降りる」と言い張って降りる(聞いた話)→一時間以上かけて新居と反対方向へ歩く(記憶なし)→目の前に自転車に乗った警官(鮮烈に記憶あり)→これまで会ったどんな警官よりも優しく、訛った言葉でしばらく会話をしたあと、そのまま再度タクシーに放り込まれ、ようやく帰宅(続く)。

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7/21
大事な日である。
ものすごい体調の悪さで、約束の時間に目が覚めた。言い訳でもなんでもないが、実のところ、僕はこの日をちゃんとした心持ちで迎えられる自信がなかった。もともと軽く宿酔いしたくらいの体で向かおうと思っていたんだけど、ここ数年でもっともタチの悪い酔い方をしてしまった。本当にごめんなさい。

その日のために集まった友人達は、僕のダメっぷりを電話口で笑いながら先に約束の場所へ向かった。数時間遅れて、僕はタラちゃんを無理矢理起こして付き合ってもらい、目的の場所へ向かった。都営新宿線で宿酔いが醒めていく中で、ゆっくりと時間が流れる。
つかの間の挨拶をする。

ふたたび新宿へ戻る。雨が上がって晴れ間がのぞく。学生時代いつも一緒にいた面子が集まって、しょんべん横町で飲む。野郎数人が集まってしっぽり飲む構図に、不思議に思ったのか隣で飲んでいたおじさん二人が話しかけてくる。僕はおじさんに話しかけられる率の高さは異常だが、これまで話しかけてきたおっさんの中でもダントツにハイクオリティだった。とつとつと話しながら、おじさんたちがここに流れてきた境遇にも不思議と重なったりしながら、そういうことか、そういうことか、じゃあもっと話さなきゃね、飲もうぜと、独自のミックスホッピーを注がれる。なにこれうまい。ゆっくりゆっくり時間が溶解している。

そのあと、宮添浩司の奥さんであるピンちゃんの誕生日会へ。今日会った付き合いの長い友人たちと、さっきのおっさんたち、ここ最近最も付き合いのある友人たちがディゾルブして、また酔う。しかし昨日と違って軽い。展示のこと含め、この時期に一度ペラペラに軽くなれて良かった。ヘラヘラしながら朝帰宅。

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7/22
元気出していきましょう。シャッキリと午前中から制作に望む。展示用キャプションの制作。今回はキャプションボードではなく、持ち帰ってもらえるように印刷物にすることに決めた。どこまで言葉を添えるべきか悩む。
昼間、ふくたろに会うため両親が来る。デレデレである。

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7/23
誕生日。
搬入まであと二日と迫っている。「稜線」シリーズのフレームがすべて完成したとNOTE WORKSからご報告。うきうきしながら受け取り行く。素晴らしい出来。ほんとに嬉しいな。

夕方、モンチからサシ飲みのお誘い。お、もしかして今日が誕生日と知ってのお誘い?うきうきして展示大詰め作業は明日!と割り切り居酒屋へ行くも、まったくそういうことではなく、最後まで大真面目に近況を話し込む。良い話。モンチと別れたあと、深夜、本多伸二と前田旦那とバーで仕上げる。
就寝前、アキに「誕生日はあらためてちゃんとやるから」と宣言して寝た(記憶なし)。翌朝、「自分の誕生日をやるからってなによ」とつっこまれる。作業に戻る。

7/24 
搬入前日。
あっと言う間である。ついにこの日が来てしまった。昨夜の不思議ナイトの遅れを取り戻すぜということで、美術館にモビールを設置する際の空間を想定した木枠に、ひたすらひたすらモビールを建て込み。もちろん風厳禁なので窓密閉、扇風機封印。朦朧としながら朝6時ようやく建て込み完了。

脚立におかしな姿勢で乗り続けていたために体中がバキバキ。モビール移動のため、ひとつひとつを絡まらないように封筒に入れる方法を考える(写真参照)。フラフラと封筒作業をしていたら、狙い澄ましたように封筒の角が左目に突き刺さる。あ、これまずい感じだと直感。無視する(続く)。

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7/25 
その流れで搬入一日目開始。
炎天下すぎ。左目痛すぎ。そしてお手伝いしている「ない世界」の入稿日。
封筒作業後、アイスノンを左目に当てながらイラスト制作とテキスト流し込み作業&送信。
アトリエに戻り、小澤雅志くんに手伝ってもらいながらタクシーに制作物と荷物を運び込む。

昼前に美術館到着。字游工房チームがテキパキと設営作業をしている。すごい。
松村さんも到着し、僕らも設営に入る。まずは「稜線」シリーズ。設営のプロ集団がレーザーの水平器を持っていたため、予想の倍の早さでグングン墨出し作業が進む。左目もグングン痛みを増してくる。

15時ごろ、平野甲賀さん到着。アロハ着用。粋が健在すぎる。今回の企画者でもある、奥さまの公子さんが設営のムードを盛り上げる。このご夫婦のように歳を重ねられるだろうか自分は。

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青焼きシリーズを貼り終えたあたりで、鳥海さんと永原さんが話しかけてきてくださる。ものすごく優しいお言葉。そして、平野甲賀の99枚がものすごい勢いで壁を覆っていく。アウラが壁を覆っていく。振り返らなくても、ちゃんと見えなくても、背後にものすごいものが迫っていることが分かる。

午後16時過ぎ、僕のモビールのスペースをのぞき、三人のほとんどの制作物が設営完了。全体の雰囲気がつかめるように。まさに三者三様。しかし、まだ自分のことが俯瞰しきれていない。モビール作業を二日目に残し、18時頃作業終了。

松村さんと美舟で初日の打ち上げ。この一ヶ月、本当にお世話になりました。まだ終わってないけどやっとここまで来ましたね。という話なんだけど、飲みだしたら左目がものすごい痛みを持ち始めて、ひたすら涙が流れ続ける。なにを言っても、周りからはただ泣いている人にしか見えない。とにかく、今日は休んでくださいという松村さんの言葉に送られて、長い長い二日間が終了。
家にたどり着く直前からなぜか右目まで痛み始め、両目をまともに開けられない状態で手探りでドアを開け、服を脱ぎ散らかし、冷凍庫からアイスノンを取り出し、這々の体で布団につっぷす。

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7/26 
設営二日目。
体バッキバキ&目の痛みで起き上がれず。しかし、アイスノンが効いたらしく痛みがやや引いている。…が、鏡で見るとホラー映画みたいに真っ赤。
眼科に行って飲み薬と目薬をいただき、遅刻して二日目の作業開始。痛みは時間とともに無くなるそう。生活にも支障なし。この日は照明の調整と、モビールの完成を目指す。もとい、今日全部完成させて快く打ち上げするのが目的。

夕方、宮添浩司到着。照明も整いモビール設置もほぼ完了し、ぜいたくな内覧会。

宮添浩司の初見の感想は、僕にとって緊張する瞬間である。今回はプロセス段階からたくさん見せて相談していたとはいえ、あらためてちゃんと見せるというのは別の話。

そんなこんなで、この日も美舟に流れ、今回もっともお世話になった松村さんと浩司くんの二人を交えて、やっとちゃんとした打ち上げ。時間を忘れて深く話し込む。
終電を逃しタクシーで世田谷へ戻り、大野彩芽ちゃんとショーゴくん夫婦を呼び出して飲み直す(迷惑)。それでもおさまらず、最終的にはコンビニ前の駐車場で、蚊に刺されまくりながら朝まで話し込む。大人でしょうが。しかしちゃんとした打ち上げであった。

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7/27 
あら、ほんとだぜんぜん目が痛くない。設営最終日。つまり、展覧会前日。
最終調整のため一人で美術館へ。展覧会前日をどんなふうに迎えているかなと想像していたけど、どうにかなった。しかし「どうにかなった」ほとんどの部分は、誰かに助けてもらった部分だ。
ここまでは、やることはやったということだ。恥ずかしい部分も含めて、あとは観てもらえれば。

7/28 
展覧会初日!
たいてい展示の初日にはオープニングパーティなどがあって、そこでガヤガヤした感じの交流があるのだけど、今回はそれがない。たしかにパーティは難しいよ。
この日はたっぷり休んで、思い切ってのぞきに行こうかなと思っていたけど、やめた。ほぼ告知ができていないし、このタイミングで日記の前半だけでもアップしようと考えた。そんなこんなで、自分なりにこの数ヶ月を反芻する一日を過ごす。

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ようやく初日までたどり着きました。「もじゅうりょく日記」<重力編>はここまでです。
読んでいただきありがとうございます。全然「制作日記」ではないですが、この日々のノイズがどんなふうに展開されているかを、ぜひ美術館会場でご覧いただきたいです。

展示初日以降〜先日のイベント「もじゅうりょく屋台」のレポートのほか、「もじゅうりょく」シリーズは、今後webでの展開をいくつか考えていますので、引き続きお付き合いいただけると幸いです。




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