<< 今となっては、なんのことだかさっぱり分からないメモ | main | 『アイデア』表紙 >>
genjitsu05

genjitsu06

genjitsu07

genjitsu08

genjitsu10
レポートとしては、てんで的外れな時期ですが、昨年の11月から12月のこと。
どんなに悪天候でも、ヘロヘロな体調でも、どうしても毎週行きたかった場所が、千原航さんが教鞭を執る、多摩美術大学デザイン学科の『現実ゼミ』でした。

デザイナーであり、多摩美の非常勤講師でもある千原航さんは、昨年行われた『Bonus Beats #2 "1979" 』展を、デザイナーの井口弘史さんと共にキュレーション(だけでなく、依頼、アートワーク、フライヤー、DJ、レポートなど表舞台から裏舞台全部)をされていた方でもあり、僕はこの展示へのお誘いで初対面となりました。

その後もいろいろな催しに呼んでくださり、うっかり調子に乗ってホイホイお邪魔していたのですが、そんな中でたどり着いた『現実ゼミ』は、「今、ここ」でしか体験できない、文字通り現実の、RAWなデザイン培養実験が行われる至極の現場でした。

千原さんによる『現実ゼミ』概要によると、このゼミの大きな柱は

(1)日本全国のかわいい公募に全員本気で応募させている。(例:「あったらいいな〜!おせんべいグランプリ2009」)

(2)受講者全員にユニットを組ませ本気で社会に営業に行かせ、全員の前で結果を報告させる

(3)外部から独断と偏見でゲストを呼び込んで講義やワークショップをやってもらう or 一緒にワンショット授業を考える。

の三本柱で、僕がお邪魔したのは主に(2)と(3)だったのですが、(3)のゲスト講義の内容をざっと挙げるだけでも、Lilmagの野中モモさん×ばるぼらさんによる、同人誌/ミニコミ/ファンジン/zine/雑誌〜初期ネット/ブログまでの個人とメディアの成り立ち紹介&検証、onnacodomoによるハンドメイドVJワークショップ、井口弘史氏デザイン講義、ばるぼらさんのエロ本エディトリアルデザイン史(凄かった…!)、加島卓さんによる「それでもデザインを語ることは不可能なのか?」のお話など、それぞれ約3時間。紙と映像と言葉によるハードコアロングプレイ。

講義後には、学生は感想を書く決まりがあり、それを最後に1冊の冊子にまとめているのだけど、どこの本屋でも手に入らないこの手書き冊子が纏っているアウラには、たまらなくそそられるものがあります。。

あと、(2)に関しても、どのユニットの活動も興味深く、中でもBITEというユニットの、ミカンの皮やタマネギの皮など身近な果物や野菜、生活のマテリアルをミキサーにかけ、和紙を漉くような技法で制作していた「紙」の美しさ(や香り)には心底感動しました。プロセスも実験に満ちていてワクワクする。1月に展示があったようなのだけどそちらは残念ながら行けず。ですが今月12日から14日まで多摩美の学内展でも展示が!ということで行ってきます。

そんなこんなで気付けば計10時間以上。千原氏のオーガナイズ力と、ゲストの吸引力と、学生が作り出すディープ磁場には本当にぶっとばされた次第です。

千原航さん、どうもありがとうございました。千原さんがあの現場で享受している多大なフィードバックに羨望っす。

#191 /// 2010.2.5 /// tag: diary /// 千原航『現実ゼミ』 //////////////////////////////////////////